認知過程と随意運動

人体には約100の関節と約400の筋肉が存在し、その組み合わせによって生まれる運動は無限といっても過言ではありません。

ベルンシュタインが言うように、冗長な自由度を持つ生物は、さまざまな関節運動と筋収縮によって、運動の目的を達成しています。

たとえば文字は、ペンでも筆でも、右手でも左手でも口でも、書かれた内容に変化はありません。

こうした日常生活を含む全ての動作において、骨・関節と筋の組み合わせのみならず、目的を達成するための手段もまた無限に存在します。

中枢神経系は、こうしたダイナミックに変化する手段において、生まれる結果の不変さを保障しています。

この随意運動を獲得するためには、身体と環境との相互関係を解釈しなければなりません。

個体は、何をどのように成すべきであるかを知り、その目的に対する運動プランやプログラムを調整する認知過程が機能しなければ、動きのなかで絶えず変化する環境に適応することはできず、その変化を予測しながら運動を調節することはできません。

知覚、注意、記憶、判断、言語といった認知過程が組織化されているからこそ、運動が遂行できるのです。

随意運動を捉えるためには、生きている自己と環境の相互関係を可能な限り考慮しながら、認知過程が経験的記述を果たすためにどのように働いているのかを分析しなければなりません。

これは膨大な経験の蓄積によって身につく「実践知」を成立させるための条件でもあります。

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