運動と深部静脈血栓

下腿を取り巻く疾患は数多くありますが、腓腹部に痛みと腫脹がある場合、深部静脈血栓(Deep vein thrombosis:DVT)の可能性を疑う必要があります。

DVTは健康で活動的な人に発生することは極めて稀ですが、運動強度の上昇に伴い発症することがあるとも言われています。

DVTになった後には静脈の機能障害や血流の停滞が起こることがあり、これ自体が高齢のアスリートにおける労作性下腿部痛の原因となる可能性があります。

これは静脈瘤を多く有する機能不全に陥った静脈でも見られますが、サポートストッキングの着用により軽減します。

血栓塞栓症を引き起こす障害は、最近20年ほどでよく認識されるようになりましたが、DVTに関連する疾病や死亡率の高さから、より注意深く気をつけなければなりません。

前述のとおり、DVTの重要な合併症は肺塞栓症であり、これは重篤な術後合併症です。

さらに女性では妊娠や経口避妊薬の服用により、服用していない女性に比べその危険性が高まることが研究により分かっています。

筋の静脈内で最もDVTが発生しやすいのは、ヒラメ筋の静脈叢です。

これらの静脈では、血液の排出は主に筋のポンプ作用に依存しています。

筋ポンプの役割は、動脈圧と動脈血流量を増加させることです。

腓腹部の静脈血栓は特に腓腹筋の機能不全によって長期の安静が必要になる際に発生しやすく、血液が長い時間とどまることによります。

運動と関連するもので言えば、レース終盤に腓腹部の痙攣を起こしたマラソンランナーがそこから数日と経たないうちに発症したり、スキー選手がスキー翌日に発症したりと、例えば筋の微細損傷や脱水などの運動に誘発されたなんらかの状態が静脈血栓形成に関与する因子であると思われます。

下腿の筋の静脈内のDVTは特に歩行時や走行時に浮腫や腓腹部の熱感、ハリ、痛みなどが起こります。

肺塞栓症を合併していない場合、発熱や頻脈がみられることがあるとも言われています。

肺塞栓症が起こると、呼吸が浅くなり、胸痛を伴い、喀血や立ちくらみ、不安感やふらふら感が起こることがあると言われています。

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